デカダンス

ここ最近観たアニメでいちばんかもしれない衝撃。西暦4000年の世界では人類は滅亡の危機に瀕していて、全高3000メートルの超大型移動要塞「デカダンス」の居住区でひっそりと暮らしていた。人類が滅亡にまで追いやられた原因は作中いくつか出てきているがそのひとつの要因として“ガドル”という未知の生物がいる。人類はガドルに対抗するためにデカダンスと戦う為の部隊“かの力”を設立。戦士たちはガドルの血を吸血する特殊な武器で戦う。進撃の立体機動みたいな感じ。なぜ血を吸い出す武器かというと、ガドルは人類にとって食糧でもあり、その血液“オキソン”はデカダンスのエネルギー源になっているから。なんとも都合がよいことで。

“かの力”に入り、世界を救いたいと願う隻腕のロボアーム少女ナツメが、仕事で元・戦士のカブラギと出会って、という王道のSFかと思っていたら、ここまで読んで察しがいい人は気付くし第1話で違和感を憶える人も少なくないだろう(特に最後のシーンとか決定的)。少しづつその“世界”の全容が暴かれていきつつ物語が展開していくのだ。この脚本はすごいわ。今まで観たことないかも。

最近、バーチャルリアリティやメタバースについて関心があるんだが、その辺も抑えつつ、王道SFバトルもやる。「ファイナルファンタジー」を土台に、「進撃の巨人」や「エヴァンゲリオン」なんかの要素もりもりで、この既視感も伏線になっているような気がした。第1話のデカダンスと巨大ガドルの超バトルはハンパじゃない迫力だし、キャノン砲ってこれかよ!と思わずツッコミたくなる斬新な攻撃方法も見逃せない。

作中の音楽で状況と世界観を住み分けしている点も秀逸。とにかくこれ、観た人と話題を共有したくなるようなアニメ。原作なしの完全オリジナル。スタジオは「幼女戦記」のNUT。コロナ禍の状況を逆手に、後世に語り継がれるアニメになってほしいなあ。

現在地上波では第6話が放送。後追いでNetflixで配信されている。地上波のTOKTO-MXは「GREAT PRETENDER」とモロかぶりなんだよなあ。これまでの総集編デカダンス「5.5話」が期間限定でリリースされているので地上波勢は今からでも間に合う。この記事のPVを観てから総集編を観るとガラッとその印象が変わるだろう。それが「デカダンス」。(ドロヘドロ カイマン予告風)